NIPT(新型出生前診断)の基本知識/我が家の体験談

「NIPT(新型出生前診断)」とは

NIPT(新型出生前診断)とは
妊娠中の人の血液から、胎児の染色体疾患や遺伝子情報を調べる検査方法です 

近年、日本でも認知が広がっていて
わたしの妊娠時(2021年~)もマタニティ雑誌やアプリで特集が組まれるなど
“特別なこと”という印象はありませんでした

それでも日本ではまだ、
産婦人科医会が積極的に勧めてはいないため(理由は〈デメリット〉章で後述)
NIPTの認可病院でない限り、妊婦健診で積極的に勧められることはないようです

そうなると妊婦さん側は、任意で情報を探すことになり
十分な正しい情報を得ないまま安易に受けてしまうことがあります
また、医療施設側は、採血だけのお手軽さで儲かることもあってこぞってNIPTを導入し、
専門知識やアフターケアの乏しい医師しかいない、
またはそもそも医師が不在なんていう施設も多くあるという現状があります

わたしたちは、夫婦で話し合いの末
2021年3月(第一子)、2022年9月(第二子)にNIPTを受けました

その際、徹底して調べたり、迷い抜いたため
自分の体験を交えて紹介したいと思います

これからNIPT検査を検討されている方の、なにか参考になったら嬉しいです

NIPT(新型出生前診断)とは?

NIPTとは “無侵襲的出生前遺伝学的検査(Noninvasive prenatal genetic testing)” のことで
胎児の染色体疾患の有無を検査する出生前検査法のひとつです

母親の血液の中には、一定の割合で胎児のDNAが循環していることが分かっていて、
10~20ml程度採取することにより、「ダウン症」「エドワーズ症候群」「パトウ症候群」等の染色体疾患が胎児にあるか否かを高い精度で判定します。

妊娠9週~10週以降で受けることができ、
母体や胎児のリスクはなく簡単に検査ができます

ただ、陰性の場合は99.9%の精度とされていますが
陽性の場合は確定診断とはならず、確定には羊水検査やじゅうもう検査で胎児の細胞を直接分析することが必要になるのですが、これは流産を引き起こすなど一定の危険性があります
そのため、その「リスクのある検査」を受けるか否かを判断するための「スクリーニング検査」としてNIPTは開発され、利用されています

メリット

  • 妊娠中からお腹の赤ちゃんを受け入れる準備ができる
     
    妊娠中から赤ちゃんの病気を知っていれば、心構えや情報収集に時間をかけることができます。また、病気によっては胎児のうちから治療する技術も最近では進んでいるため、そういったことも検討することができます
     
  • 母体・胎児ともにリスクがない
     
     NIPTは母親の腕からの採血だけなので、妊娠中の母子の体調に影響なく行うことができます
     
  • 結果の精度が高い(陰性の場合)
     
     陰性であれば精度は99.9%と言われているため、安心して妊娠生活を過ごすことができます
     
  • ダウン症のほかにも、いくつかの先天的障害や性別を知ることができる(NIPTの種類による)
     
     NIPT=ダウン症か否か、ではなく、染色体異常による様々な先天的な病気や障害を知ることが可能です(※NIPTの種類、実施クリニックによります)
     また、性別に関しては、日本の産婦人科では一般的に超音波検査での確認になるため、性器を観察できるようになる妊娠5~6か月以降にならないとわからないことが多く、あくまで目視のため生まれてみたら予想していた性別と違ったということもままありますが、NIPTは血液検査なので妊娠9~10週という早期に確定的な性別を知ることができます
     

デメリット

  • 結果が陽性だった場合、中絶という選択肢が生まれる
     日本でNIPTが導入された2013年から5年半の間で陽性結果が出た妊婦さんのうち、9割の人が中絶を選びました
    この結果だけ見ると、NIPTが中絶を促す手段になってると言われても致し方ないように思えます

    日本の刑法には「堕胎罪(だたいざい)」があり、妊娠中の女性や医師が中絶を行うことは禁止されています
    一方で、母体保護法という法律によって、以下3つの条件を満たせば、違法性なく中絶を行うことができます
     
    ①妊娠や出産が妊婦の健康に影響を及ぼす場合
    ②妊娠や出産により、経済的問題が起こる可能性がある場合
    ③レイプにより妊娠した場合

    つまり、望んだパートナーとの妊娠で順調に赤ちゃんが育っている場合、どのような病気を持った子であろうと、中絶できる理由は「経済的問題」一択なのです

    NIPTの陽性そのものだけでは中絶の理由にならないので、「経済的問題」として行うのが実態となっています(もちろんダウン症のお子さんには、育児や教育、医療費がかさむことが考えられますので事実経済的に難しいというご家庭もいらっしゃると思いますが、必ずしもそうではないご家庭においても、経済的問題を理由に中絶する実態があります)

    おなかの赤ちゃんの健康を知るための検査が、結果的に「命の選別」「優勢社会化」になっているとして日本産婦人科医会は否定的な見方をしています

  • 検査費用が高い
     アメリカではNIPTは保険適用ですが、日本では全額自費です(2022年現在)
     検査項目数、検査実施が海外or国内、アフターケアの有無などによっても異なりますが、だいたいの相場は20万円前後です
     
  • ほんの一部の先天的障害を知るためのもの
     「NIPTで陰性だったから我が子は健常なはずだ」そう思っていても生まれてみるとなんらかの先天的障害をお持ちのお子さんはいらっしゃいます。障害や病気は無数にあって、ひとつの検査ですべてわかることはありえません。よく考えれば当たりまえのことですが、息子さんが2歳のときに自閉症と診断されたお母さんが「NIPT陰性だったからといって何の障害もない保証にはならないんだ」と語っていたblogが参考になりますので、勝手にご紹介させていただきます。

     https://h-navi.jp/column/article/35028531

日本におけるNIPTとは?

導入の背景と現状

2022年5月現在、日本国内では
108か所の認定施設と非認定施設で受けることができます。

NIPTを受ける際は、体制が整った医療機関でNIPTに関するカウンセリング(遺伝カウンセリング)を受けて気持ちをしっかり整理したうえで受けることが大切だと思います
万一望まない結果が出た場合に、フォローができない医療機関(無認可施設)では不安ですよね
どんな結果の場合でも、安心して最良の選択ができるようなサポート体制の下で受けることをおすすめします

クリニックを選ぶ前に最終確認すべきこと

クリニックを選ぶということは、すでにNIPTを受けることはほぼ決めている段階かと思います
その前に今一度、陽性の場合にどう行動するか夫婦でじっくり納得のいく話し合いができたか確認をすることを強くおすすめします
「結果が出てから考えよう」では、動揺して普段の思考ができなくなる可能性があるからです
(陰性の場合は特に何も気にしなくてよいので、陽性のときの話し合いです)

  • なぜ受けようと思うのか?
  • 検査の結果が自分たち夫婦にとって、どのような意味を持つのか?
  • 検査の結果を受けて、どのような決断をするのか?

「我が子なら、どんな子でも愛おしい」
もし本当にそう思っているのならなぜNIPTを受けますか?
我が子に障害があるかないかを、妊娠中に知る必要がありますか?

私自身が自問自答した問いです
本当はそんなことは綺麗事で、重度の障害とわかれば生むことを迷うのでは?と

ではなぜ迷うのだろうか?

それは、障害があったら愛せないからではなく、
「障害というものの実態を知らない」という漠然とした不安のためだと気づきました

人は、知らないこと・見えないものを恐れますよね

だから、現代の技術で知りうる(知る権利がある)ことなのであれば
事前に知り、産後の生活をイメージすることで
少しでも不安を取り除くことができると考えました

たとえば
同じような障害を持つお子さんのいるご家族の考えを本などで読んだり
漠然とお金がかかるといってもどれほどなのか調べ
それにより仕事をどうするかを話し合うなど
具体的なイメージを持てることはとても大きいと思いました

NIPTは、妊婦さんとそのご家族の「知る権利」を尊重し
より健やかな妊娠期間と将来を過ごすための検査です

誰だって望んだ妊娠であれば、好んで中絶を選ばないはず
まして長年不妊治療をした末にできた待望の赤ちゃんであればなおさらです

知る権利があって自分自身で選んだがゆえに
その結果を今後後悔するといったことがないよう
夫婦でしっかり話し合い納得のいく答えが出せるといいなと思います

東京都内でNIPTが受けられるおすすめクリニック7選(認可・無認可)

~準備中です~

わたしが受けたNIPTの体験談

知ったきっかけ

わたしがNIPTを知ったきっかけは
産婦人科医の知人のセミナーに友人枠で顔を出したことでした
彼はイギリスの病院で「0歳からの医療=胎児治療」を専門とする中で
まだ日本にほとんど導入されていなかったNIPTの可能性について
追究していました

20代だった当時のわたしはまだ夫とも出会っておらず
妊娠はおろか結婚も考えていなかったけれど
いざ自分が妊娠したら
「きっと権利として、生む心構えとして、知りたいと思うだろうな」
と漠然と考えました

でもいざ妊娠してみると、
知る権利、と、知ることの責任の重さの間で揺れる自分がいました

夫婦で話し合ったポイント

まずわたしたちはNIPTの結果、
なんらかの障害があるとわかった場合(その後確定診断などありますが)、
生むかどうかについて話し合いました

まず一歩として、障害のある子をもつ親御さんの本やブログを読んで
自分たちの人生がどんなふうになりうるか
イメージをしてみました

理想は子ども2、3人欲しいけれど
1人でいっぱいいっぱいになるかもしれない
時間も場所も制約された今のような働き方で
共働きはできなくなるだろう・・・など

また、ブログや本で発信をする親御さんは
実体験の苦労などを語りながらも
根底には「それでも我が子はかわいい」という思いの方が多く、
育児放棄をするような方はそもそも情報を発信しないのかもしれず
そうした見えない部分、きれいごとではない部分についても
ドキュメンタリー番組や統計などを見て想像を膨らませました

もちろん想像の域を出ないのですが
全く考えないより
自分たちの生き方、価値観などが浮かび上がったように思います

その結果、
「どんな赤ちゃんでも受け入れる」
と決めました

でも、
「だから先天性の病気は知る必要がない」ではなく
「だから先天性の病気を知り、準備をしたい」という思いでした

それにより、
通院のいる生活になるのか
仕事は、住む家は、どんな調整が必要になるのか・・・

中には胎児のうちに治療が可能なものもあるし、
障害をもったまま生まれてくるとしても
産前であればその知識をなるべく得て
具体的な行動や心の準備をしておく時間がとれると考えました

わたしたちはそのために
第一子、第二子ともにNIPTを受けました

わたしが受けたNIPTとその理由


認可と無認可がありますが、まだNIPTが公的に普及しているとは言い難い日本では
認可は受ける側も条件が問われ、わたしは条件外だったため
必然的に無認可施設で受けることになりました
だからこそ、アフターフォローをしっかり行っているかがとても重要な判断基準でした
選んだ理由は下記のとおりです



①症例数(実績)の多さ
 NIPTを行う無認可施設が急増してきたからこそ、流行りに乗って始めました!という感じではなく
 早いうちから着手しているクリニックが信用できると思いました
 また陽性の実績もあって、その都度どのような対応をしてきた(実績)かを明記していると安心です

②陽性だった場合の、確定診断検査の受けやすさ(費用補助など)などアフターケアの充実
 認可施設で検査をする条件として、出産時の年齢が35歳以上という制限があります(※2023年1月現在)
 それ以下の年齢の方は必然的に無認可施設で受けることになりますが
 その場合、カウンセリングをしっかり行ってくれるNIPTの知識豊富な医師がいることが重要だと思います
 また、NIPTで陽性と出ても、確定診断で陰性となるケースは珍しくありません
 そのため確定診断を行う場合に、「確定診断は別の病院でやってください。うちではできません」
 というクリニックは少なくなく、では別の病院を探そうと思っても、無認可クリニックで受けたNIPTの結果で確定診断を行ってくれる病院も限られているのです(つまり、NIPTと確定診断を別のクリニックで行うことができないことがある)
 NIPTで陽性になったとたん、確定検査をできる病院探しに困ることのないよう、あらかじめ確認しておいたほうがいいかと思います
 
③費用
 同一項目を調べる場合はどこも大差ないですが
 調べる検査項目(ダウン症候群、エドワーズ症候群・・)により
 15~30万弱とばらつきがあるため結果的にクリニックによる差が出たりします

以上を踏まえて、わたしは2回とも東京・八重洲にあるヒロクリニックにて検査をしました

2回とも「陰性」だったため
陽性だった場合のアフターフォローについては体験を語れないのですが
こちらは症例数も多く、医師が常駐していて説明してくれることが安心でした

検査(採血のみ)はとても簡単&システマチックで(事前ビデオを見させられる)
結果もオンラインで後日スムーズに確認ができるため
とてもよかったです

まとめ

NIPTは、生まれてくる赤ちゃんとの未来について準備やイメージをするための
「知る権利」のひとつだと思います

でもその結果が自分たち親にどのような影響や行動をもたらすのか
命にかかわる大切なことであるだけに
夫やパートナー、今後育児にかかわってゆく方などとゆっくり
話し合いをすることをぜひおすすめいたします

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