日本人は、不妊治療開始が遅い
日本人は諸外国に比べて
不妊治療を最初に受けるタイミング(年齢)が遅いと言われています
たとえばアメリカと日本の20~30代女性の人口比だと
体外受精の件数は、日本はアメリカの6倍であるにもかかわらず、
成功率(妊娠率)はアメリカの約1/2です
日本の周産期医療技術は世界トップクラスと言われていながらも
このような結果になっているのは、
不妊治療開始年齢の高さにあると言われています
日本では、平均40歳以降になってから体外受精を開始するのに対し、
アメリカでは平均34歳。
35歳を超えて体外受精を開始する場合は
若いドナーの卵子を使うことも選択肢の一つになっていたり
養子をとることも日本ほど社会的ハードルが高くありません
日本人が手遅れになる理由
最近でこそ、
「不妊治療」に向けた休業宣言や
「不妊治療」を経て授かった子どもがいることを公言する芸能人や著名人が増えて
社会的認知が広まりましたが
一方で、40歳以降でも子どもを授かったというニュースを見聞きするたび
不妊治療をすれば誰でもいつでも授かれるんだという安易な考えも
広がってしまっています
他の先進諸国に比べて、
性や妊孕性(妊娠する力)に対する教育が整備されていないために、
高齢でも妊娠できると誤認してしまうのですね
そう考えると、
日本の少子化問題は、決して個人の責任ではなく
性教育(受精のしくみ程度しか教えない学校教育)も、
女性の社会進出における家庭との両立困難な状況も、
子育てに必要な経済支援も、
すべて「個」のせいにして丸投げしてきた国の責任がいかに重いかが感じ取れます・・・
(話が脱線しました、すみません)
・・・
わたしの不妊治療開始の体験談
わたしは34歳で結婚し、心配性の性格もあいまって
子づくりを初めて3回ほどタイミングをとって授からなかった時点の、
35歳で初めて不妊治療クリニックへ行きました
夫に「まだ早いんじゃないの~」と言われたことはさておき(←何も調べもせず知識もない人の意見は無視です)
先生に「あなたまだ若いわね」と言われたので、驚きました
先生はもちろん、
「35歳は不妊治療を受けるに値しない」と言いたかったのではなく
「35歳で受けたならまだ手遅れではない」と言いたかったのです
ここを受診する人の多くは
40歳過ぎて泣きついてきて手遅れをみることも多いから。とのことでした
最近は認知度も進んで20代の患者さんも増えたけれどね、と
<手遅れ>という言葉の重みがずっしりきました
35歳は若い、という言葉通りの意味ではなかったので
少しやっぱり焦る気持ちも芽生えた帰り道でしたが
同時に、今から始めたら希望はあるんだと思えたこともよく覚えています
40歳を過ぎて授かることのできる人もいるけれど
確率でいうとごく一部
仮に妊娠できても継続率は下がり、流産率が反比例的に上がるのが一般的
若いにこしたことはないという一方で
20代であっても不妊原因が見つかる方もいるということ
わたしは自分の無知を
不妊治療を通してたくさん知ることができました
だからこそ、不妊治療は
「今すぐ子どもが欲しい!」と思ったときではなく
「いつか子どもが欲しい」と思ったときに
パートナーと話し合い、受けることをおすすめします
まだパートナーがいないという女性でも
「自分の身体を知り、備える」ことは20代のうちから行うといいと思います
たとえば婦人科健診を定期的に受けることで
将来妊娠の障害になる病気があれば早期に見つけ治療しておくことができます
(卵巣の障害や、子宮筋腫など・・)
また、AMH検査(アンチミューラリアン・ホルモン検査)というものがあって
ホルモンの値を測って自分の卵子の年齢を調べたり、自身の体を理解することもできます
私も独身時代にAMH検査をしましたが、
当時は実年齢より5歳ほど若い結果が出て嬉しかったものの
それが翌年、翌々年も同じように若い保証はないし
あくまで一つの目安にと考えていました
また、AMH結果次第では、卵子凍結をしておくという選択肢もあります
※受精卵凍結より妊娠率は下がるようですが、いつかの体外受精に備えた可能性につながります
子どもは欲しいと思ったときにすぐに来てくれるとは限らないので
そのときがきたら万全な自分でいられるように準備をする
そのための一歩に不妊治療はあると私は思いました
不妊治療以前の通院への理解も欲しい
余談ですが、
わたしは【不妊治療】という言葉の響きがよくないなぁと常々思っています
まるで、「妊娠できない人が受ける治療」のように聞こえるから
20代でその門をたたくのは抵抗が出てしまうと思うのです
英語では不妊治療は
【fertility treatments】(直訳:子を産む能力/治療)
子どもが欲しかったら行く、というニュアンスで
こちらのほうが気軽に行けそうですよね
わたしは3か月だけタイミングをとって授からなかったので
即、不妊治療のクリニックへ行き夫婦ともにひととおりの検査を受けました
夫もわたしも治療の必要なトラブルは見つからず
「このまま自然に機を待っていても子ども2人は授かれると思う」と言われました
それでもその結果がわかるまでに
4か月間、不妊治療のクリニックに通ったのです
そのためには仕事の調整が必要なこともあり、
会社に報告せずにはいられなかったのですが
当時のわたしの会社の上司は
今の時代であれば完全アウトなハラスメント人で
「不妊治療って、どっち(夫or妻)のせいなわけ?」と嘲笑しながら言ってきました
ちなみに彼は奥さんと2人で、子どもがいません
不妊治療=子ども出来ない人たちのもの
だと思われているんだなと思うと同時に
それを本人に向けて言い放つデリカシーの無さに傷つきました
【不妊】の定義は
【適切なタイミングを一定期間とっても妊娠しないもの】のことで
その期間は「1年」が一般的とされていますが(かつては「2年」だった)
女性の年齢が35歳を過ぎたら「半年」
40歳を過ぎたら「3か月」などと
諸説言われています
でもその<一定期間>を待たずに
子どもが欲しいタイミングですぐに受診してもいいのです
そうした人たちにとっては
自分たちが【不妊】傾向にあるから治療のため通ったのではなく
【不妊】傾向がないか知るための検査のため通ったと言えます
不妊傾向が見つからなければ
治療をせずにタイミングをとってみてもいいし
最速で授かりたい!と望むのであれば
そのまま治療に入ってもいい
夫婦の数だけ答えがあるものなので
ひとくくりに【不妊治療】としてしまうと
まだ20代や30代前半の人たちにとっては敷居の高いものになってしまう気がしています
もちろん、検査の末
治療が必要とわかって通う方もいるけれど
だからといって「不妊治療に通っているんです」と言うのは
本人にとってもネガティブで、周りにも腫れ物に触るような扱いになってしまう…
ただでさえ通院していると
気持ちの面での心細さや不安が大きいのです
せめて「子どもを授かるための治療」といったような
ポジティブな言葉にできたら
自分自身も堂々と通い、周りも「今子どもを望んでいるんだね」と受け入れやすいのかなと
あくまで捉え方の問題なのですが、思いました